英名:migraine headache
片頭痛は一次性頭痛に分類され、偏頭痛とも書かれます。世界的にみてもとても一般的な頭痛で、約18%の女性、約6%の男性が毎年苦しんでいるとされています。日本の全国調査でも片頭痛は年間有病率は 8.4%と報告されています。性別・年代別にみると最も片頭痛有病率の高い30歳代の女性においては約20%、それに続き40歳代の女性でも約18%と高い有病率を示しています。
片頭痛の症状
以下のような症状が数十分から数時間続くことがあります。
- 主に左右どちらか一方のコメカミから目の周辺にかけての頭痛
- ズキズキと心臓の拍動にあわせて強い痛みを感じる
- 頭を動かすと頭痛が酷くなる
- 光・音・臭いに敏感になる
- 吐き気がする
また約20%の患者さんが頭痛の前兆を感じるとされ、前兆は男性に比べて女性の患者さんに多く報告されています。
- 頭痛の数分前~数十分前に視界にジグザグ模様が浮かぶ
- 眼鏡や髪を結んでいることへの不快感などの感覚障害
片頭痛の頻度
この頭痛の一般的な頻度は少ない人で月に1〜2度、多い人で週に1〜2回起こります。頭痛が月に15日以上、それが3ヶ月間続くと慢性的な片頭痛と診断されます。この頭痛の原因ははっきりとは分かってはいないものの、過度の心理的負担が症状を引き起こすとされており、60%近くの患者はストレスがあるときに、また患者さんの中の約25%はストレスから解放されたときに頭痛が起こると感じています。
片頭痛の原因
その他の片頭痛の原因として有力視されているのが三叉神経血管説です。三叉神経は顔面の皮膚、口や鼻の粘膜、咀嚼筋などを操っており、脳血管の一部と密接に関わっています。通常、脳の血流はセロトニンという物質によってコントロールされていますが、全てのセロトニンが使われてしまうと血管内のコントロールを失い、血管が収縮した状態から一気に血管が拡張します。その過度の拡張により、周りの三叉神経が炎症を起こしこれらの情報が大脳に送られ痛みとして感じる事により起こります。
片頭痛の慢性化
片頭痛の症状が出てからの期間が長くなり、頭痛が3ヶ月の間、月に15日以上でると慢性的片頭痛と診断されます。ここまで進行すると、脳内神経の敏感化が起こっていると考えられ、弱い刺激にでも脳が過敏に反応してしまいます。結果として、頭痛の頻度や強度が増し、それと同時に薬の効きが悪くなります。
片頭痛のリスク
睡眠不足、肩こり、過労、眼精疲労、天気の変化、アルコール(特に赤ワインに含まれるポリフェノール)、チラミンという特定物質を含む食品(チョコレート・ナッツ・チーズ)などが発作のリスクを高めると考えられています。片頭痛は女性の周期とも関係があり、月経関連片頭痛としても知られています。
片頭痛と病気の併発
片頭痛を持っている患者さんの多くが、その他にも病気や疾患を持っていることがしられています。これらの疾患は片頭痛の進行に深く関わっているので、片頭痛と並行して治療することが必要になります。
- 肥満
- ぜんそく
- 睡眠障害
- 免疫疾患
- レイノー現象(手や足の指先の小さな血管への血流不足)
- 顎関節症
- リウマチ性疾患
- てんかん
- うつ
- 双極性障害