感染経路と流行時期

予防接種で全ての病気を完全に防げるわけではありません。ですが、多くの研究の結果、予防接種後にその病気にかかっても比較的軽度の症状で済むと報告されています。また、予防接種のない感染症もあり、これらはたびたび集団感染を引き起こします。子供がかかりやすい感染症は流行りの時期があるので、感染経路とともに見ていきましょう。

感染経路

ウイルスや細菌は、さまざまな経路を経由し、口や鼻から喉に入り込んで体へと進入します。感染を未然に防ぐ対策を立てるために必要なことなので、ここでは主な感染経路を紹介します。

空気感染

病原菌が空気中に飛び出し人に感染させることです。感染の恐れのある距離は1m以上とされています。

空気感染する病気の例

  • 麻疹(はしか)
  • 水痘(水ぼうそう)
  • 結核

飛沫感染(ひまつかんせん)

病原菌が咳やくしゃみをしたときに口から飛び出した細かい水滴(飛沫)を経由して他者に感染することを飛沫感染といいます。飛沫感染の恐れがある距離は約1mの範囲とされています。

飛沫感染する病気の例

  • 百日せき
  • 風疹(ふうしん)
  • インフルエンザ
  • おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

接触感染

この感染は皮膚や粘膜の直接的な接触に加え、病原菌の付着した手すりやタオルなどの表面を介しての間接的な接触によっても起こります。

接触感染する病気の例

  • 咽頭結膜熱(プール熱)
  • インフルエンザ 

経口感染(糞口感染)

病原菌に汚染された食べ物を十分に加熱しないで食べた場合に加え、感染者の手や指を介して食品や水を汚染し集団感染に繋がるという事例も報告されています。

また、糞便が手指を介して経口摂取される場合を特に糞口感染といい、病原菌を持った幼児のおむつ交換後に手を洗わないことから両親に感染するということがよく起きています。感染性胃腸炎(ロタウイルス)のワクチンは生ワクチンを使用するため、予防接種後のおむつ交換には注意が必要です。

経口感染する病気の例

  • 感染性胃腸炎(ロタウイルス)
  • 感染性胃腸炎(ノロウイルス)

感染症と流行時期

子供によくみられる感染症には流行しやすい季節があります。予防接種で防げる感染症の場合、予防接種の期限が来たらなるべく早い時期に済ませるようにし、流行する季節には感染症の対策を立てましょう。

予防接種がない感染症の場合は、流行する季節には、しっかり手洗いなどの感染症対策を立て、規則正しい生活を心がけるなど生活習慣を見直すことが必要です。特に予防接種がない病気の場合、幼稚園や保育園での集団感染も起こりうるので、施設からの注意喚起などのチェックも必要です。

以下に主な感染症の流行時期を表にまとめました。

感染症名
123456789101112

麻疹(はしか)      
風疹(ふうしん)       
水痘(みずぼうそう)     
流行性耳下線炎(おたふく)      
インフルエンザ        
感染性胃腸炎(ロタウィルス)         

感染性胃腸炎(ノロウィルス)         
ヘルパンギーナ         
手足口病         
咽頭結膜炎(プール熱)          
溶連菌感染症     
突発性発心

感染症対策

予防接種に加え、感染症への対策を立てることで感染のリスクは劇的に減ります。

1. 手洗いやうがいを徹底する

外から帰ってきた時、食事の前やトイレ後などは必ず手を洗うようにします。料理の提供者も料理をする前には指の間や指先から手首にかけて念入りに洗います。うがいは、はじめは口の中からのどを洗えるよう、「くちゅくちゅ」と「ガラガラ」うがいの両方をします。

2. 換気と加湿

室内の環境も重要です。空気感染や飛沫感染の場合、ウイルスが空気中に漂っていることがあるので、定期的に換気をするようにします。インフルエンザウイルスは湿度が高いと感染力が落ちることが知られているので、必要に応じて加湿器や濡れタオルで湿度の調整を、また定期的な水分補給も有効です。

3. 家の中の除菌

感染症の原因は主に細菌やウイルスなので、感染を防ぐためにも部屋の中でもよく触れる場所は普段からなるべく除菌をしておくのがおすすめです。

これらのすべてを急に実践することは大変だと思うのですが、なるべく手洗いやうがいは普段から習慣づけるようにし、病気が流行っている時期には家の湿度や除菌などにさらに気を配ることが必要です。

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