かぜの定義はあいまいですが、一般的に自然に治癒する上気道のウイルス感染症とされています。ですので、かぜを引き起こすウイルスが口や鼻の粘膜や気道で炎症を起こし、鼻水や喉の痛みなどの症状が現れます。かぜは抗生物質は効かないので、安静を保ち自然回復を待ちます。症状に合わせて解熱鎮痛剤や去痰剤などが処方されることもあります。
数日から数週間で回復する風邪ですが、肺などに病気などがある方がかかると基礎疾患の症状が悪化することがあります。ですので、まずはかぜをひかないように感染の予防対策を立てることが必要です。
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かぜの症状
- 発熱
- 鼻水
- のどの痛み
- 咳
- くしゃみ
- 耳の痛み
これらの症状はウイルスによる感染症以外の他の病気でもみられます。かぜは自然によくなるので、症状が長引く場合はかぜ以外の病気の可能性も考えられます。また、子どもが感染した場合、鼻やのど周辺だけではなく、気道や肺まで病原菌が侵入してしまうこともあります。
上にあげた一般的な症状に加え、咳や呼吸の音からも風邪の悪化具合が分かることがあります。
オットセイの鳴き声のような咳
急性声門下喉頭炎（クループ症候群）といい、特定のウイルスが声門の下に炎症を起こすことで特徴的な咳の音になります。この咳は大吠様咳嗽（けんばいようがいそう）と呼ばれ、ケンケンと犬やオットセイが鳴いているように聞こえます。
ゼーゼーという呼吸音（喘鳴：ぜんめい）
乳児がRSウイルスなどの特定の病原菌に感染すると、急性細気管支炎を引き起こすことがあります。急性細気管支炎の特徴は、喘鳴と呼ばれるゼーゼーという呼吸音です。
かぜの原因
かぜは主に飛沫感染や接触感染により人から人へと移ります。多くのウイルスがかぜの原因として知られおり、ライノウイルスがその半分を占めています。その次いで多いのはコロナウイルスです。ライノウイルスは１年中、コロナウイルスは冬に流行する傾向があります。
ウイルスにより症状はさまざまですが、２～３歳児に特によく見られるもののひとつとしてRSウイルスを例に挙げます。
RSウイルス（Respiratory syncytial virus）
RSウイルスはによる感染は主に秋から冬に流行します。ほとんどの子供が2歳になるまでに感染する程ありふれたウイルスで、免疫が正常に働いてる子供の場合は鼻水や咳などの軽度な症状ですむことがほとんどです。RSウイルスは一度感染したとしても免疫が得られることがなく、その後もまた感染する可能性はあります。
症状
感染から症状が出現する潜伏期間は約4日間です。初期症状として鼻水やのどの痛みが現れ、その数日後に咳がでるようになりますが、ほとんどの健康な子どもであれば、これらの症状は数日で治癒します。ですが1歳未満の幼児や心臓・肺に疾患を持つ子ども、ダウン症の子ども、早産児や免疫不全の子どもが感染すると、症状が悪化し重症化する危険性があります。特に生後６ヵ月までの子どもが感染した場合は、典型的な呼吸器の症状だけではなく、無呼吸発作という突然死を引き起こすこともある危険な状態がおこることもあります。
細気管支炎
また、肺に近い気道である細気管支に炎症がおよぶと細気管支炎と診断されます。細気管支炎になると呼吸がしずらくなり、ゼイゼイ（喘鳴：ぜんめい）と音が聞こえるようになります。細気管支炎の症状は1週間程度をピークとして回復に向かいますが、回復後にも気道が過敏になり、かぜをひくたびに喘鳴を繰り返すこともあります。
肺炎
感染症がさらに悪化し、肺の内部にまで炎症が及ぶと肺炎と診断されます。
かぜの診断
上にあげた一般的なかぜの症状に当てはまらないものをみつけ、細菌感染の合併症が隠れていないかどうかなどを判定することが大切です。ウイルスの中でも他者への感染力の高い、インフルエンザウイルスの可能性が疑われる場合は、鼻から採取された粘液を利用して検査が行われることもあります。
かぜの治療
風邪の治療は対症療法といい、持っている症状の緩和が目的です。発熱やのどの痛みに対しては解熱鎮痛剤が、鼻水や鼻詰まりや咳などに対しても治療薬が処方されます。
一般的なウイルス感染による風邪には効かないので抗生物質は処方はされません。ですが、ウイルス感染に加えて細菌の合併感染が疑われる場合には、抗生物質が使用されることがあります。小児における細菌合併症の原因としては、肺炎球菌やインフルエンザ菌が多く見られ、ペニシリンという抗生物質がよく選択されます。
かぜを予防する方法として、特に早産児などを対象にRSウイルス感染を予防する注射が行われることがあります。これは通常の予防接種と異なり、RSウイルスが流行する冬場に毎月接種を繰り返す必要があります。
